これは何の話?

全体俯瞰図

GoogleのAIコーディングツール「Gemini CLI」に、新しい作業モード「Plan Mode(計画モード)」が導入されました。

これは「コードを書かずに、どう書くかの計画だけを練る」ためのモードです。AIに複雑なタスクを依頼したとき、いきなりファイルを書き換えられて「違う、そうじゃない!」となった経験はないでしょうか?Plan Modeはまさにその事故を防ぐための安全装置です。

何がわかったか

Plan Modeの特徴は、AIができる行動(ツール使用)が厳格に制限されることです。

  • できること: ファイルを読む、ディレクトリ一覧を見る、検索する、ユーザーに質問する、計画書(Markdown)を書く。
  • できないこと: コードの書き換え、新規ファイルの作成(計画書以外)、不必要なコマンド実行。

ユーザーは Shift+Tab キーを押すか、チャット欄に /plan と入力することで、いつでもこのモードに入れます。AIは調査を行い、提案内容をまとめた計画書を作成してくれます。ユーザーがその計画を承認して初めて、通常の「Auto-Edit」モードに移行し、実装が始まります。

他とどう違うのか

多くのAIコーディングツールは「依頼→即実行」のスタイルが基本です。しかし、これだとAIが文脈を誤解したまま大量のファイルを変更してしまい、後戻りが大変になることがありました。

Plan Modeは「調査・設計」と「実装」を明確にフェーズ分けするアプローチをとっています。これは人間のシニアエンジニアが、いきなりキーボードを叩かずにまずは設計図を書くのと似ています。特に影響範囲が大きい変更や、既存コードの仕様把握が必要なタスクで威力を発揮します。

なぜこれが重要か

AIの自律性が高まるにつれ、「暴走(意図しない変更)」のリスクも高まります。Plan Modeは、一種の「ガードレール」として機能します。

AIに十分な調査時間を与え、人間がその方針を事前にチェックすることで、手戻りを減らし、結果として開発スピードと品質の両方を向上させることができます。「まずは計画だけ立てて」という指示を、ツール側で強制できるのは大きなメリットです。

未来の展開・戦略性

Gemini CLIの設定で defaultApprovalModeplan にすることで、常に計画からスタートするよう強制することも可能です。慎重な開発が求められるプロジェクトでは、この設定が標準になっていくかもしれません。

また、ポリシーファイル(設定)をカスタマイズすることで、Plan Mode中でも特定のコマンド(git statusなど)だけは許可するといった柔軟な運用も可能です。AIとの協働作業において、「いつ実行させるか」というタイミングの制御権を人間が持ち続けるための重要な機能と言えます。

どう考え、どう動くか

Gemini CLIを使っている開発者は、少し複雑なタスクを投げるときは、まず /plan で入る癖をつけると良いでしょう。

「〇〇の機能を実装して」といきなり言うのではなく、「Plan Modeで〇〇機能の実装方針を調査して」と依頼します。出力された計画書(Markdown)をレビューし、問題なければ承認する。このワンクッションを挟むだけで、AIコーディングの納得感と成功率は格段に上がります。

用語ミニ解説

  • Read-only Tool (読み取り専用ツール): read_filegrep_search など、ファイルの中身を見るだけで変更を加えないツールのこと。
  • Markdown (マークダウン): 見出しや箇条書きなどを記号で簡単に書ける文書形式。AIが計画書を書く際によく使われる。

出典と日付

Plan Mode (experimental) | Gemini CLI Gemini CLI Documentation 2026-02-12 https://geminicli.com/docs/cli/plan-mode/