1. これは何の話?
ElevenLabsが、テキストプロンプトからスタジオ品質の楽曲を作れる音楽生成モデル「Eleven Music」を正式リリースしました。ジャンル指定に加え、歌入り/インストや歌詞を自然言語でコントロールでき、多言語歌唱にも対応します。レーベル・出版社・アーティストと協力して開発され、ほぼすべての商用利用を想定したライセンス設計としています。
2. 何がわかったか
Eleven Musicは英語・スペイン語・ドイツ語・日本語などで歌や歌詞生成が可能で、10秒〜5分の尺を選べます。APIからも利用でき、生成後にセクション単位で歌詞やサウンドを微調整し、サビだけ作り直すといった操作がUIで完結します。広告・番組・ゲーム・ポッドキャストなど幅広い商用利用が許可され、プラン別に条件が整理されています。利用規約やFAQで商用可の範囲が明記され、B2B利用を強く意識した構成です。
3. 他とどう違うのか
SunoやUdioが一般ユーザー起点で広がったのに対し、Eleven Musicは既存のTTS・ナレーション顧客に向けたB2B前提の位置づけです。リリース時点からレーベルや出版社と連携し、商用OKを打ち出しているため、権利整理の不確実性が低いのが強みです。ElevenLabsの音声・画像・動画機能と同じアカウントで使えるため、制作ワークフローを一社で閉じやすいのも差分です。
4. なぜこれが重要か
映像制作者はナレーション・効果音・BGM・主題曲を同一ベンダーで揃えられ、契約やハンドオフの手間が減ります。個人クリエイターにとっても、YouTubeやポッドキャスト用BGMを権利グレーなサイトに頼らずに調達できる導線が増えます。商用可の条件が明示されていることで、法務確認コストも抑えられます。
5. 未来の展開・戦略性
ElevenLabsはIconic Voice Marketplaceなど声のマーケットプレイスを持っており、将来は有名声のクローンとEleven Musicの楽曲を組み合わせた新しいライセンス商品が出る可能性があります。Image & Video機能と組み合わせれば、絵・動画・音・音楽をすべてElevenLabsで賄う構図が強まり、プラットフォームのスイッチングコストが上がります。音楽系APIの料金やモデル更新頻度が、企業採用のカギになりそうです。
6. どう考え、どう動くか
具体例:自社プロダクトの解説動画を、Eleven MusicでBGM、Eleven TTSでナレーション、Image & Videoのショートクリップで構成し、「全部Eleven」ワークフローを一度試す。
指針:
- まず30〜60秒のループBGMを3本生成し、既存動画に差し替えてミックスしやすさを確認する。
- 広告・アプリUI・ゲームなど短尺反復が多い領域から適用し、尺とループ品質の安定性を評価する。
- Suno/Udioと比較する際は同ジャンル・同尺で作り、歌詞編集のしやすさと商用条件を並べて検証する。
次の一歩: ・今日やること:公式ブログとFAQで商用利用範囲と最大尺を確認し、法務チェック項目をメモする。 ・今週やること:Eleven Musicだけで30秒〜1分のBGMを3パターン作り、動画やポッドキャストに実際に敷いてテストする。
7. 限界と未確定
- ユーザー音源をアップロードして学習・リミックスする機能は限定的で、ステム編集や細かなミキシングは未対応です。
- 国内の権利処理(JASRAC等)との関係は未公表で、日本市場で大規模に使う場合は追加確認が必要です。
- APIやプラン料金は変動しやすく、2025年11月以降の価格改定リスクを見込んでおく必要があります。
8. 用語ミニ解説
- セクション編集:曲をイントロ/Aメロ/サビなどに分け、ブロック単位で音や歌詞を差し替える方法。
9. 出典と日付
ElevenLabs(公開日/最終確認日:2025-11-25/2025-11-28):https://elevenlabs.io/blog/eleven-music-is-here