これは何の話?

IBMが、イタリア大手保険Unipol Assicurazioniがwatsonxを活用してAI駆動の運用自動化プラットフォーム「NAMI」を構築したと発表したニュースです。メインフレームとクラウドを跨ぐハイブリッド環境全体で、IT運用を自動化・最適化する基盤として位置づけられています。[1]

何がわかったか

  • NAMIはオンプレミスのセキュリティ・統制を維持しつつ、クラウドのスケーラビリティを組み合わせた設計で、Red Hat OpenShiftやAnsibleなど既存ツールとネイティブ連携します。
  • watsonxのオープンなAIプラットフォームを用いて、用途ごとに最適なファウンデーションモデルを選択できるようにしています。
  • 導入効果として、インシデント対応時間を90%削減し、データ分析の迅速化など実務成果を得たと明記されています。

他とどう違うのか

多くのAI導入事例は新規アプリケーション向けですが、NAMIは既存のメインフレーム運用や分散システムを対象にAI自動化を適用している点が特徴です。大規模レガシー運用に生成AIと自動化を組み込んだ具体例になっています。

なぜこれが重要か

金融・保険ではレガシー資産が多く、AI適用のボトルネックになっています。NAMIのように、ハイブリッド環境全体で自律的な運用を構築できれば、運用コスト削減だけでなく、規制対応や可用性の維持にも寄与します。

未来の展開・戦略性

Unipolは将来的にNAMIをIT運用以外の部門にも拡張し、AIエコシステムを全社で利用する計画を示しています。IBMにとっても、watsonx+Red Hat+サービスの組み合わせを他の金融機関へ横展開する重要なリファレンスになります。

どう考え、どう動くか

例:自社のハイブリッド運用でAI自動化の余地が大きいプロセス(インシデント管理、パフォーマンス分析など)を特定する。

  • メインフレーム/クラウド間で人手に頼っている作業を棚卸しし、AIに置き換えた場合の効果を試算する。
  • AIプラットフォームの選定時に、既存の自動化ツール(Ansible等)とどこまでネイティブ統合できるかを要件化する。
  • ガバナンスやデータ主権を満たしつつAIを運用するためのアーキテクチャ指針を策定する。 次の一歩: ・今日やること:IBM×Unipol案件をIT運用チームに共有し、自社で似た課題があるかヒアリングする。 ・今週やること:優先プロセス1件を選び、AI自動化導入時の指標(MTTR、工数、コスト)を試算する。

限界と未確定

  • 公開情報では導入コストやROI詳細、対象範囲が明示されておらず、同様の成果が他社でも得られるかは検証が必要です。
  • ハイブリッド環境でAIを動かすにはデータ品質や権限設計が重要で、PoCから運用までには追加の統制整備が求められます。
  • watsonx以外のAIスタックとの比較やベンチマークは未提示です。

出典と日付

[1] IBM Newsroom(公開日:2025-11-11/最終確認日:2025-11-11)