1. これは何の話?

日本のITサービス大手がシリコンバレーにAI専門会社を設立した経営判断について、グローバルIT戦略に関心のある読者向けに解説します。

NTT DATAは2025年12月9日、米国シリコンバレーを拠点とする新会社「NTT DATA AIVista, Inc.」の設立とCEO人事を発表しました。同社100%出資の子会社で、2025年12月1日付でBratin Saha氏がCEOに就任しています。AIVistaはNTT DATA およびNTTグループ各社のAIネイティブビジネスの創出と事業拡大を支援する役割を担います。

2. 何がわかったか

新CEOのBratin Saha氏は、AWS、NVIDIA、DigitalOceanで要職を歴任した経歴を持ちます。AWSではAI・機械学習・データインフラ担当のバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーとして、Amazon SageMaker、Amazon Q、Amazon Bedrockなどの製品開発を主導し、AWS史上最も急成長した事業の一つを構築しました。

NVIDIAではソフトウェアインフラ担当バイスプレジデントとして高性能コンピューティングとAIプラットフォームの発展に貢献。DigitalOceanではCPTOとして製品戦略から開発、セキュリティまでを統括しました。

学歴はハーバードビジネススクール修了、イェール大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得しています。

3. 他とどう違うのか

日本企業がシリコンバレーにAI専業の子会社を設立する動きは珍しくありませんが、今回はCEO人事のレベルが異なります。

AWS・NVIDIA両社でAI事業の中核を担った人物を招聘したことで、単なる研究開発拠点ではなく、事業化を前提とした本格的なAI会社を目指す意図が明確です。「AIネイティブビジネス」という表現からも、既存事業へのAI追加ではなく、AIを前提とした新規事業創出を志向していることが読み取れます。

4. なぜこれが重要か

NTT DATAのグローバルAI戦略における本気度を示す人事です。

Saha氏はAWSで「数十億ドル規模のAI事業」を構築した実績があり、その経験をNTT DATAグループに持ち込むことで、日本発のグローバルAIサービス企業としてのポジション確立を狙っています。NTT DATA Group社長兼CEOの佐々木裕氏は「AI時代におけるNTT DATAの成長モデル変革を牽引する」と期待を表明しています。

5. 未来の展開・戦略性

シリコンバレーの人材・エコシステムを活用したAIネイティブ事業の創出が第一段階と考えられます。

NTT DATAのコンサルティングおよびエンジニアリング能力と、最先端AI技術の組み合わせにより、クライアント向けの最適なAI関連サービスを開発していく方針です。Saha氏のエコシステム構築経験を活かし、スタートアップやテック企業との連携も進む可能性があります。NTTグループ全体のAI戦略にも影響を与えるでしょう。

6. どう考え、どう動くか

たとえば、NTT DATAと取引のある企業のIT責任者であれば、今後提供されるAIサービスの変化を注視する価値があります。

指針:

  • NTT DATAのAIサービスラインナップの変化を定期的に確認する。
  • シリコンバレー発のAIサービスが日本市場に展開される時期を見極める。
  • 競合SIerのAI戦略と比較し、パートナー選定の判断材料にする。

次の一歩:

  • 今日やること:NTT DATAのAI関連サービスページをブックマークする。
  • 今週やること:自社のSIerパートナーのAI戦略を3社分リストアップして比較する。

7. 限界と未確定

  • AIVistaが開発する具体的なサービスや製品は未発表。今後のプレスリリースで明らかになる見込み。
  • 日本市場向けサービスの提供時期は不明。シリコンバレー拠点のため、まずは米国市場が中心か。
  • 組織規模や採用計画の詳細は公開されていない。NTT DATA公式サイトで続報を確認する必要がある。

8. 用語ミニ解説

  • AIを後付けではなく、事業の根幹に組み込んで設計されたビジネスモデル。(AIネイティブビジネス / AI-Native Business)

9. 出典と日付

NTT DATA プレスリリース(公開日:2025-12-09):https://www.nttdata.com/global/en/news/press-release/2025/december/120900