1. これは何の話?

OpenAIは2025年12月10日、元Slack CEOのDenise Dresser氏を最高収益責任者(CRO)として迎え入れることを発表しました。Dresser氏はOpenAIのグローバル収益戦略、エンタープライズ営業、そしてカスタマーサクセスを統括します。エンタープライズAI導入を検討する経営層や事業開発担当者にとって、OpenAIの本格的なB2B戦略の始まりを示す重要な人事です。

ChatGPTは現在、週間アクティブユーザーが9億人に迫る規模まで成長しており、コンシューマー向けの成功を収めています。今回の人事は、この巨大なユーザー基盤を企業向けビジネスへと転換させる狙いがあります。

CRO組織図:収益戦略とエンタープライズ営業の統括

2. 何がわかったか

Dresser氏はSalesforceによるSlack買収後、SlackのCEOとしてエンタープライズ統合を指揮した実績を持ちます。Salesforce在籍時を含めると10年以上にわたりグローバルセールスのリーダーシップを発揮してきました。

OpenAIのアプリケーション担当CEOであるFidji Simo氏は「Dresser氏の経験は、AIをあらゆる業界の企業にとって有用で信頼できるものにするために不可欠」とコメントしています。企業向けAIツールの導入から定着までを一気通貫で支援できる体制構築が狙いです。

3. 他とどう違うのか

これまでOpenAIはAPIやChatGPT Enterpriseを提供してきましたが、専任のCROを置いていませんでした。セールス組織を本格的に構築するフェーズに入ったことで、MicrosoftやGoogleといった既存エンタープライズプレイヤーと同じ土俵で競争する意思表示といえます。

特にSlackという「企業のコミュニケーション基盤」を率いた経験は、AIを業務フローに深く組み込むノウハウに直結します。

4. なぜこれが重要か

OpenAIは2029年頃まで黒字化しない見通しとされており、収益基盤の確立が急務です。週9億ユーザーという圧倒的なリーチを持ちながら、その大半がコンシューマー利用である現状を、エンタープライズ契約へ転換できるかが今後の成長を左右します。

Dresser氏の起用は、OpenAIが「研究開発主導の組織」から「収益を生み出す事業会社」へと成熟するための象徴的な一手です。

研究開発主導から収益企業への変革

5. 未来の展開・戦略性

エンタープライズ営業体制の強化により、ChatGPT EnterpriseやAPI利用の大型契約が増加することが予想されます。また、業種別のソリューション展開や、パートナーエコシステムの拡大も視野に入るでしょう。

競合他社のAnthropicやGoogleも企業向け展開を加速させており、エンタープライズAI市場での主導権争いが本格化します。Dresser氏がどのような差別化戦略を打ち出すかが注目点です。

エンタープライズAI市場の主導権争い

6. どう考え、どう動くか

例えばエンタープライズ向けAI導入を検討している企業は、OpenAIの営業組織強化により、より手厚いサポートや導入支援が受けられるようになる可能性があります。

指針:

  • OpenAI Enterpriseプランの最新機能や価格体系を確認する。
  • 自社のAI導入計画とOpenAIのエンタープライズ戦略を照らし合わせる。
  • 競合他社(Anthropic、Google)のエンタープライズ施策も比較検討する。

次の一歩:

  • 今日やること:OpenAI Enterpriseの公式ページで最新情報をチェックする。
  • 今週やること:自社のAIツール利用状況を棚卸しし、エンタープライズ契約の費用対効果を試算する。

次の一歩チェックリスト

7. 限界と未確定

  • Dresser氏の具体的な組織戦略や初期施策は未発表。今後の公式発表を待つ必要がある。
  • 営業体制の強化が実際の収益にどの程度寄与するかは時間が経たないと判明しない。
  • 黒字化目標の詳細なロードマップは非公開であり、投資家向け情報として別途開示される可能性がある。

未確定事項と要注視ポイント

8. 用語ミニ解説

  • 企業の収益戦略を統括する役職。(CRO / Chief Revenue Officer)

9. 出典と日付

OpenAI(公開日:2025-12-10):https://openai.com/index/openai-appoints-denise-dresser/