1. これは何の話?

OpenAIが元Google幹部のアルバート・リー(Albert Lee)氏を、コーポレート開発担当バイスプレジデント(VP of Corporate Development)に採用したと発表しました。リー氏は2025年12月16日(火)に正式着任し、OpenAIのCFOであるサラ・フライアー氏の直属として職務を開始します。OpenAIの企業買収(M&A)や戦略投資、さらには戦略的な人材獲得を統括する役割を担います。AI業界の競争が激化するなか、OpenAIがM&A戦略を本格化させる布石と見られています。

2. 何がわかったか

アルバート・リー氏はGoogleに約14年間在籍し、Google CloudやDeepMind部門のコーポレート開発を統括していました。在籍期間中に60件以上の取引(買収・戦略投資)を手がけ、その総額は500億ドル(約7.5兆円)を超えるとされています。なかでも2025年3月に発表されたGoogleによるクラウドセキュリティ企業Wizの買収(320億ドル規模)では主導的な役割を果たしました。OpenAI側は「広い視野を持ち、迅速に行動できるシニアリーダーを確保する」ことが今回の採用目的だと説明しています。

3. 他とどう違うのか

従来OpenAIは、自社でのモデル開発や研究に注力してきた企業ですが、近年は外部との連携を積極化しています。この人事は、買収や投資を通じた成長戦略へ本格的に舵を切る姿勢の表れです。Googleで大型M&Aを経験した人材を迎えることで、交渉力やデューデリジェンスの知見を即座に獲得できる点が特徴的です。

4. なぜこれが重要か

OpenAIが専任のコーポレート開発VPを置くことは、同社がスタートアップ的な体制から「買収で成長する大企業」へと転換しつつあることを示しています。AI業界では人材獲得競争が激しく、買収による技術・人材の取り込み(いわゆるacqui-hire)が有効な手段です。M&Aに精通した専門家を経営層に加えることで、機動的な戦略実行が可能になります。

5. 未来の展開・戦略性

リー氏の採用により、OpenAIは今後、有望なAIスタートアップの買収やインフラ企業への投資を加速させる可能性があります。特にエンタープライズ領域でのソリューション拡充を狙った垂直統合型の買収や、安全性・セキュリティ分野の強化が想定されます。OpenAIは最近、元AmazonのTorben SeversonをグローバルBD VP、元xAIのMike Liberatoreをビジネスファイナンスオフィサーとしても採用しており、経営陣の拡充が進んでいます。

6. どう考え、どう動くか

たとえばAI関連スタートアップの経営者や投資家であれば、OpenAIからの買収オファーや投資提案の可能性が高まったことを念頭に置くべきでしょう。

指針:

  • OpenAIのM&A動向(買収先の傾向、投資領域)をウォッチリストに追加する。
  • エンタープライズAI市場での競合他社との統合・提携ニュースにも注目する。
  • 自社事業がOpenAIの戦略と重なる場合、アライアンスの可能性を検討する。

次の一歩:

  • 今日やること:OpenAIの直近の買収・投資リスト(Neptune買収など)を整理する。
  • 今週やること:リー氏のLinkedIn経歴を確認し、過去のM&A案件の傾向を分析する。

7. 限界と未確定

  • リー氏が具体的にどの領域の買収を担当するかは公表されていない。今後の発表を確認する。
  • OpenAIの買収予算や投資方針の詳細は非公開。財務状況の続報を追う。
  • 元記事(Reuters)が認証制限でアクセス不可のため、複数のセカンダリソースで事実確認を実施。

8. 用語ミニ解説

  • 企業買収や戦略投資を専門に担当する部門のこと。(コーポレート開発 / Corporate Development)
  • 買収前に対象企業の財務・法務・事業リスクを詳細に調査すること。(デューデリジェンス / due diligence)

9. 出典と日付

Reuters(公開日:2025-12-15):https://www.reuters.com/business/retail-consumer/openai-hires-veteran-google-executive-corporate-development-vp-2025-12-15/