1. これは何の話?

Skills仕様の概念図:フォルダ+Markdownでどのプラットフォームでも使える

OpenAIがChatGPTとCodex CLIに「Skills」と呼ばれる新機能を静かに導入しました。これはAnthropicが2025年10月に公開した「Claude Skills」と同様のアプローチで、フォルダ構造とMarkdownファイルで定義するシンプルな仕様です。エージェントAIやコーディングツールを開発・利用する開発者にとって、LLM間で共通の拡張仕様が広がりつつあることを示す重要な動きといえます。Simon Willison氏のブログで詳細が報告されました。

2. 何がわかったか

Skills活用フロー:SKILL.mdを読み込んでPDF・文書を生成

ChatGPTのCode Interpreterには/home/oai/skillsというフォルダが追加されており、PDF・docx・スプレッドシートの生成を支援するSkillファイルが含まれています。興味深いのは、PDFや文書を処理する際、ページごとにPNGへレンダリングしてからビジョンモデルに通すアプローチを採用している点です。これはレイアウトや図表の情報を失わないための工夫と思われます。一方、Codex CLIでは~/.codex/skillsフォルダに配置されたSkillを--enable skillsオプションで有効化できます。実際にDatasette用プラグイン生成のSkillを作成・実行した結果、正常に動作したことが報告されています。

3. 他とどう違うのか

AnthropicのClaude Skillsとの最大の共通点は、「フォルダ+SKILL.mdファイル+補助スクリプト」という軽量な仕様に基づいている点です。これはMCPのような複雑なプロトコルと異なり、ファイルシステムを読めるLLMツールなら汎用的に活用できます。OpenAIが独自フォーマットを作らずAnthropicのアプローチに追従した形であり、エージェントツール間の相互運用性が事実上の標準として形成されつつあります。

4. なぜこれが重要か

AnthropicとOpenAIのSkillsが事実上の標準へ収束

この動向の本質は、主要LLMプロバイダー間で「拡張機能の定義方法」が収束しつつあることにあります。Skillsはシンプルな仕様ながら、カスタムタスク(プラグイン生成、文書作成など)をLLMに教え込む強力な手段です。Anthropic発の仕様をOpenAIが12月という短期間で採用したことは、今後のエージェントAI開発において「Skills」が事実上の標準になる可能性を強く示唆しています。

5. 未来の展開・戦略性

Simon Willison氏は、Skillsの正式な仕様ドキュメント化を「Agentic AI Foundation」が担うべきと提案しています。今後、GeminiやGroqなど他のLLMプレイヤーも同様のSkills対応を進める可能性があり、エージェント開発における「一度書けば複数LLMで動く」という相互運用性の実現が近づいています。開発者向けSkillのマーケットプレイスや共有リポジトリの登場も予想されます。

6. どう考え、どう動くか

たとえばデベロッパーツールを開発しているチームであれば、自社製品向けのSkillを作成し、複数のLLMエージェント(Claude、ChatGPT、Codex CLI)で動作確認することで、ユーザー基盤を拡大できます。

指針:

  • anthropics/skillsリポジトリとOpenAIのoai-skillsを比較し、仕様の差異を把握する。
  • 自社プロジェクト向けのSKILL.mdを作成し、Codex CLIで動作検証する。
  • Agentic AI Foundationの動向を追い、正式仕様化のタイミングを注視する。

次の一歩:

  • 今日やること:ChatGPTで「Create a zip file of /home/oai/skills」を実行し、中身を確認する。
  • 今週やること:自分のプロジェクト用にSKILL.mdを1つ作成し、Codex CLIで動かしてみる。

7. 限界と未確定

  • ChatGPT側のSkillsは公式発表されておらず、仕様変更の可能性あり。本番環境での利用は慎重に。
  • Codex CLIのSkills機能は「experimental」扱い。APIや挙動が変更される可能性が高い。
  • AnthropicとOpenAIの実装間で微妙な差異がある可能性があり、厳密な互換性は未保証。両者のGitHubリポジトリとリリースノートを継続確認する。

8. 用語ミニ解説

  • LLMに特定タスクのやり方を教えるフォルダ+Markdownの仕組み。(Skills / スキル)
  • 開発者がターミナルから使えるOpenAIのコード補助ツール。(Codex CLI / コーデックスCLI)

9. 出典と日付

Simon Willison's Weblog(公開日:2025-12-12):https://simonwillison.net/2025/Dec/12/openai-skills/