これは何の話?

ドナルド・トランプ大統領は、米国各州が独自のAI規制を制定することを禁止する大統領令に署名しました。これは連邦レベルでAIルールを統一する動きの一環です。

特にコロラド州の「全米初」となるAI規制法を名指しで「煩雑(cumbersome)」と批判しており、同法は2026年の施行を前に法的な障害に直面する形となりました。AI関連政策の動向を追う企業や法務担当者向けに、この大統領令の意味を解説します。


何がわかったか

大統領令の主なポイントは以下の通りです。

  • 各州が「煩雑な」AI法を制定することを禁止
  • コロラド州のAI法を具体例として挙げ批判
  • 連邦政府によるAI規制の統一化を目指す

コロラド州司法長官フィル・ワイザー氏は、この大統領令を法廷で争う意向を表明しています。連邦政府と州政府の権限をめぐる法的対立が予想されます。

州規制から連邦統一への流れを示す概念図。州ごとの規制が禁止される様子


他とどう違うのか

バイデン政権下では、各州がAI規制を独自に策定する動きが容認されていました。コロラド州のAI法は、AIによる差別的判断を規制する全米初の包括的な法律として注目されていました。

今回の大統領令は、こうした州レベルの取り組みを「イノベーションを阻害するもの」として否定し、連邦による一元管理を志向しています。規制アプローチの根本的な転換を意味します。


なぜこれが重要か

この動きは、AI規制の主導権が連邦政府に集約される可能性を示しています。企業にとっては、50州それぞれの規制に対応する負担が軽減される一方で、連邦レベルの規制内容が不透明な状況が続きます。

また、消費者保護の観点からは、州レベルで進んでいたAI倫理規制が後退する懸念も指摘されています。


未来の展開・戦略性

コロラド州が法廷闘争を選んだ場合、連邦政府と州政府の権限をめぐる憲法上の議論に発展する可能性があります。判決次第では、他の分野の規制にも影響を及ぼす先例となり得ます。

企業側は、当面は連邦・州双方の動向を注視しつつ、規制環境の変化に備えたコンプライアンス体制の柔軟性が求められます。


どう考え、どう動くか

具体例:米国でAIサービスを展開する日本企業は、従来コロラド州法への対応を検討していたかもしれませんが、今後は連邦規制の動向を優先的にウォッチする必要があります。

指針:

  • 連邦レベルのAI規制案が出た場合、自社サービスへの影響を早期に評価する
  • 州法と連邦法の優先関係について法務チームと確認する
  • 欧州のAI規制(AI Act)との整合性も視野に入れた対応を検討する

次の一歩:

  • 今日やること:大統領令の原文を確認し、自社関連条項を特定する
  • 今週やること:米国AI規制動向をまとめたブリーフィングを法務チームと共有する

限界と未確定

  • 法的効力:大統領令がどの程度の法的拘束力を持つかは解釈が分かれる
  • 連邦規制の内容:統一規制の具体的な内容は未発表
  • 訴訟の行方:コロラド州の訴訟結果は数カ月〜数年単位で確定する可能性

用語ミニ解説

  • 大統領令:米国大統領が連邦政府機関に対して発する行政命令。法律ではないが、行政機関を拘束する

出典

KUNC(公開日:2025-12-13):https://www.kunc.org/politics/2025-12-13/trump-cites-colorado-in-new-executive-order-banning-states-from-creating-cumbersome-ai-laws