1. これは何の話?
PC向けAIハードウェアの最新動向を追う開発者やエンジニアに向けた発表です。2026年1月6日、AMDのリサ・スーCEOがCES 2026の基調講演にて、ノートPC向けプロセッサ「Ryzen AI 400シリーズ」とAIデータセンター向けGPU「MI455X」を含む大型発表を行いました。
NVIDIAがGPU市場を支配する中、AMDはCPU・GPU・NPUを三位一体で強化するアプローチで差別化を図っています。今回の発表は「AI Everywhere, for Everyone」をスローガンとし、コンシューマからデータセンターまで全レイヤーでのAI処理能力向上を目指しています。
2. 何がわかったか
Ryzen AI 400シリーズはZen 5アーキテクチャを採用したノートPC向けプロセッサです。RDNA 3.5のGPUコアを16基搭載し、60TOPSのNPUも内蔵しています。Intelの競合製品Core Ultra 9 288Vとの比較において、クリエイティブタスクで1.7倍、マルチコアタスクで1.3倍の性能を発揮するとAMDは説明しています。
搭載PCはAcer、ASUS、Dell、HP、Lenovo、Beelink、COLORFUL、LG、Mechrevo、MSI、NECといったメーカーから2026年第1四半期に登場予定です。
データセンター向けのMI400シリーズも発表され、上位モデルMI455Xは前世代MI355X比で10倍の性能向上を達成しています。また、MI455Xを4基とサーバーCPU「EPYC Venice」を1基搭載したAIラック「Helios」は、ラック1台あたり最大3エクサフロップスの性能を実現します。
3. 他とどう違うのか
NVIDIAがGPU単体での性能競争を進める一方、AMDはCPU・GPU・NPUを統合したソリューションを提供しています。特にRyzen AI 400シリーズは、オンデバイスAI処理を重視し、クラウドに依存しないローカルAI実行環境を想定した設計です。
データセンター向けでは、NVIDIAのBlackwellやRubinに対抗するため、MI455Xで大幅な性能向上を図りつつ、2027年にはCDNA 6アーキテクチャとHBM4Eメモリを備えたMI500シリーズの投入を予告しています。
4. なぜこれが重要か
AI処理をローカルで完結させたい開発者やエンタープライズにとって、NVIDIAへの一極依存を避ける選択肢が広がることは重要です。特にNPU 60TOPSという数値は、オンデバイスLLM推論や画像生成において実用的な水準に達しつつあります。
データセンター市場でも、MI455Xの10倍という性能向上は、AI学習・推論コストの削減に直結するため、クラウドプロバイダーやAIスタートアップにとって無視できない選択肢となります。
5. 未来の展開・戦略性
AMDは2027年のMI500シリーズでHBM4Eメモリを採用し、さらなる帯域幅向上を狙っています。これはNVIDIAのRubinプラットフォームと同世代のメモリ技術であり、性能差を縮める可能性があります。
また、AI開発者向け小型PC「Ryzen AI Halo」が2026年第2四半期に登場予定であり、エッジAI開発環境の強化も進められています。
6. どう考え、どう動くか
GPUリソースのコスト最適化を検討している組織は、AMDの新製品がワークロードに適合するか評価する価値があります。
指針:
- 自社のAI推論ワークロードにおけるNPU活用可能性を検討する。
- MI455XのROCm対応状況と主要フレームワーク(PyTorch、TensorFlow)との互換性を確認する。
- 2026年Q1に登場するRyzen AI 400搭載ノートPCで、オンデバイスLLM推論のベンチマークを実施する。
次の一歩:
- 今日やること:AMD公式のCES 2026発表資料でスペック詳細を確認する。
- 今週やること:利用しているAIフレームワークのAMD対応状況を調査し、移行コストを見積もる。
7. 限界と未確定
- MI455Xの具体的な価格や消費電力は未発表。総所有コストの比較は製品リリース後まで待つ必要がある。
- 「10倍の性能向上」の測定条件や具体的なベンチマーク結果は公開されていない。
- ROCmエコシステムがCUDAと同等の開発者体験を提供できるかは、実際のワークロードでの検証が必要。
8. 用語ミニ解説
- AIに特化した演算ユニットで、1秒間に何兆回の演算ができるかを示す単位。(TOPS / Tera Operations Per Second)
9. 出典と日付
GIGAZINE(公開日:2026-01-06):https://gigazine.net/news/20260106-amd-ryzen-ai-400-mi400/ AMD(公開日:2026-01-06):https://ir.amd.com/news-events/press-releases/detail/1272/amd-and-its-partners-share-their-vision-for-ai-everywhere-for-everyone-at-ces-2026





