1. これは何の話?
ロボット産業やスマートホーム分野の動向を追う事業者・開発者に向けた、CES 2026で見えた新トレンドの解説です。AIが搭載されたコンパニオンロボットやペット型デバイスが、大型ヒューマノイドとは異なる形で家庭向け市場に浸透しつつあります。
従来のCESではタスク自動化を謳う実用的なロボットが中心でしたが、今年は「一緒にいること」を主目的とした機器が静かに存在感を増しています。これはAIが画面から物理的な存在へと拡張していく動きを示唆しています。
2. 何がわかったか
The Vergeの報道によれば、CES 2026ではいくつかの注目すべきコンパニオンロボットが展示されました。
Loonaの「DeskMate」は、iPhoneをPixar風の大きな目を持つコンパニオンへと変身させる製品です。Slack連携やミーティングアシスタントなどの実用機能も備えていますが、販売訴求の中心は「コンパニオン体験」に置かれています。
AIロボティクススタートアップZerothは、WALL-Eに似たデザインのロボット「W1」を発表しました。ユーザーについて回って小物を運んだり写真を撮ったりする以外の実用機能は限定的です。同社は「advanced mobility and environmental AI」を搭載していると説明していますが、詳細は明かされていません。
Zerothはさらにドールサイズのヒューマノイドロボット「M1」も発表しています。リマインダー、育児支援、転倒検知などの実用機能とコンパニオン機能を組み合わせ、GoogleのGemini AIモデルを会話に活用しています。
3. 他とどう違うのか
LG CLOiDやSwitchBot Onero H1、Boston Dynamics Atlasといった大型ヒューマノイドが家事や工場作業の自動化を目指しているのに対し、今回注目されているコンパニオンロボットは明確なタスクを持っていません。
これはアジア、特に中国や韓国で人気を集めているソーシャルロボットの概念を欧米向けにリパッケージしたものです。韓国では高齢者ケア向けにAIロボットが普及しています。CES 2026は、この概念が西洋の家庭市場にも意図的に投入され始めたことを示しています。
4. なぜこれが重要か
ロボット市場が「何かを自動化する」というアプローチだけでなく、「共に存在する」という価値を提供し始めたことは、AI活用の新しい方向性を示しています。スマートスピーカーやスマートディスプレイが音声インターフェースとして普及したように、物理的な存在としてのAIが生活空間に浸透する可能性があります。
特に高齢化社会における見守りやメンタルヘルス支援など、「タスク完了」ではなく「継続的な存在」に価値がある領域で需要が生まれると考えられます。
5. 未来の展開・戦略性
家庭用コンパニオンロボット市場は、スマートホーム機器の次なるカテゴリとして成長する可能性があります。Gemini AIなどの大規模言語モデルとの統合により、単なるおもちゃではなく、自然な会話相手として機能する製品が増えていくでしょう。
一方で、「AIコンパニオン」という概念に対する社会的な受容度や、プライバシー・依存性に関する議論は今後深まることが予想されます。
6. どう考え、どう動くか
高齢者向けサービスやメンタルヘルス領域で事業を展開する組織は、コンパニオンロボットの導入可能性を探る価値があります。
指針:
- ZerothやLoonaの製品仕様を確認し、ターゲットユーザー層との適合性を検討する。
- アジア市場で先行するソーシャルロボットの事例を調査する。
- 「タスク完了」ではなく「継続的な存在」を価値とするサービス設計を検討する。
次の一歩:
- 今日やること:The Vergeの記事で紹介されている各製品のスペックと価格帯を確認する。
- 今週やること:韓国の高齢者向けAIロボット「Hyodol」などの事例を3件調査し、ユースケースを整理する。
7. 限界と未確定
- 各製品のAI技術の詳細(モデルサイズ、処理方式など)は多くの場合公開されていない。
- 欧米市場での消費者受容度はまだ実証されていない。
- プライバシーに関するポリシーや、収集されるデータの扱いについての情報は限定的。
8. 用語ミニ解説
- 特定のタスクを行うのではなく、ユーザーと一緒にいることを主目的としたロボット。(コンパニオンロボット / Companion Robot)
9. 出典と日付
The Verge(公開日:2026-01-07):https://www.theverge.com/news/856207/ces-2026-trend-ai-companion-robot-pet




