1. これは何の話?

Zennで公開された、Claude Code(メインエージェント)とCodex(サブエージェント)の効果的な連携方法に関する技術記事です。 筆者のowayo氏は、これまで両者を「MCP(Model Context Protocol)」を使って接続していましたが、応答が返ってくるまで何が起きているか分からない「ブラックボックス化」に不満を持っていました。そこで、あえてMCPを使わず、Claude Codeの**「Skill機能」を使ってCodex CLIを直接叩く**形式に変更したところ、開発体験(DX)が劇的に向上したという報告です。

2. 何がわかったか

記事では、MCP連携とSkill連携の具体的な比較がなされています。

  • MCPの課題:
    • 進捗不明: 実行中、Claude Code側では「実行中」アイコンが出るだけで、裏でCodexが動いているのか止まっているのか分からない。
    • タイムアウト不安: 複雑な推論で数十分かかる場合、フリーズしたのかと不安になり中断したくなる。
    • デバッグ困難: エラーが起きても原因の切り分けが難しい。
  • Skill(CLI実行)のメリット:
    • 完全な可視化: ターミナル上にCodexの出力(思考ログや実行コマンド)がリアルタイムで流れるため、「今何をしているか」が一目瞭然。
    • 制御性: 明らかに間違った方向に進んでいる場合、ターミナルを見て即座にCtrl+Cで中断できる。
    • 安心感: 「動いている」ことが見えるだけで、長時間の待ち時間もストレスが大幅に減る。

3. 他とどう違うのか

通常、AIツール間の連携には標準規格であるMCPを使うのが「正解」とされています。 しかしこの記事は、**「実用性の観点からは、あえて泥臭いCLI連携(Skill)の方が優れている場合がある」**という逆説的な知見を提示しています。 特にCodexのように「思考に時間がかかる(Reasoning)」ツールの場合、ブラックボックスなAPI連携よりも、プロセスが見えるCLI連携の方が、人間とAIの協調(Human-in-the-loop)において優れているという指摘は、エージェント設計における重要な示唆です。

4. なぜこれが重要か

これは、現在進行系の「AIエージェントのUI/UX設計」に対するフィードバックです。 将来的にはMCPも「ストリーミングログ」に対応して進捗が見えるようになるかもしれませんが、現状の仕様では「待ち時間のストレス」が大きな課題です。 開発者が自分の手で環境をハックし、「待てるAI体験」を構築したこの事例は、他のAIツール連携(例えばPerplexity検索や画像生成など)においても応用できる考え方です。

5. 未来の展開・戦略性

Claude Codeの「Skill」機能は、任意のシェルコマンドを実行できるため、Dockerコンテナの操作や、独自のスクリプト実行など、MCPサーバーを立てるまでもない「軽量な連携」に適しています。 今後、MCPがリッチになるまでの過渡期として、このような「CLIラッパーとしてのSkill」がGitHub等で共有され、デファクトスタンダードになっていく可能性があります。

6. どう考え、どう動くか

もしあなたがClaude Codeや他のエージェントツールを使っていて「待ち時間が苦痛」だと感じているなら、このアプローチを試すべきです。

具体的な指針(最大3項):

  1. 脱MCPの検討: 「結果だけ返ってくればいい」ツールはMCP、「過程も見たい」重いツールはSkill(CLI)、という使い分けを検討する。
  2. Skill定義の作成: 記事で紹介されているYAML定義を参考に、手元のCLIツール(CodexやGrepツールなど)をClaude Codeのスキルとして登録してみる。
  3. 可観測性の重視: 自作ツールを作る際は、AIが見ても人間が見ても分かるように、標準出力(stdout)に進捗ログを丁寧に吐き出す設計にする。
  • 次の一歩
    • 今日やること:自分の.claude/skillsディレクトリを確認し、よく使うCLIコマンドをスキル化できないか考える。
    • 今週やること:Codex CLIをインストールし、記事のYAML設定をコピペして、実際にClaude Codeから呼び出してみる。

7. 限界と未確定

  1. セキュリティ: Skillはシェルコマンドを直接実行するため、権限設定を間違えるとシステム全体に影響を及ぼすリスクがあります(rm -rfなども実行可能になり得る)。
  2. 依存関係: 各環境にCLIツール(Codex等)がインストールされている前提となるため、チーム内での環境統一(DevContainer等)が必要になります。

8. 用語ミニ解説

Claude Code Anthropicが提供する、ターミナルで動作する開発者向けAIエージェント。自然言語で指示を出すと、ファイル編集やコマンド実行を行います。

Codex CLI OpenAIのモデル(o1/o3-mini等)をターミナルから利用するためのコマンドラインツール。

MCP (Model Context Protocol) AIモデルと外部ツール(データベース、API、ファイルシステム等)を接続するための標準規格。

9. 出典と日付

Zenn @owayo(公開日:2026-01-25):https://zenn.dev/owayo/articles/63d325934ba0de