1. これは何の話?

ワークフロー自動化ツールn8nが、バージョン2.0のベータ版をリリースしました。2023年7月の1.0リリースから約2年半ぶりのメジャーアップデートです。
n8n 2.0はセマンティックバージョニングに従っています。そのため、このリリースには破壊的変更(Breaking Changes)が含まれています。アップグレード前に既存ワークフローへの影響確認が必要です。
新機能の追加よりも、セキュリティ・信頼性・パフォーマンスの強化が主眼です。エンタープライズ環境での運用を見据えた基盤強化と位置づけられています。
2. 何がわかったか
セキュリティ面では、Task Runnerがデフォルトで有効になります。これにより、Codeノードの実行が分離された環境で行われ、環境変数へのアクセスもブロックされます。任意のコマンドを実行できるノードもデフォルトで無効化されます。
信頼性の面では、Waitノードを含むサブワークフローの動作が修正されました。従来はWaitノードへの入力が返されていましたが、2.0ではワークフロー終端のデータが正しく返されるようになります。

パフォーマンス面では、新しいSQLiteプーリングドライバにより、ベンチマーク上で最大10倍の高速化が確認されています。ファイルシステムベースのバイナリデータ処理も負荷時の予測可能性が向上しました。
3. 他とどう違うのか
n8n 1.xでは、ワークフローを保存すると即座に本番環境に反映されていました。2.0ではPublish/Save機能が分離され、Saveは編集の保存のみ、Publishで本番反映という明確な区分になります。
この変更は、今後予定されている自動保存(Autosave)機能の基盤にもなります。作業中の変更が意図せず本番に反映されるリスクを排除できます。
4. なぜこれが重要か
「セキュリティをデフォルトで有効にする」という設計思想の転換です。従来は柔軟性を優先して緩い設定がデフォルトでしたが、2.0ではセキュアな状態から始めて、必要に応じて緩和する方向に変わります。
エンタープライズでの採用が進む中、本番環境での安全な運用を標準とする姿勢は、n8nの成熟を示しています。
5. 未来の展開・戦略性
2026年1月には自動保存機能が追加される予定です。また、今後は年に1〜2回のメジャーリリースを計画しており、改善のリリースサイクルが短縮されます。
GitHubスター数が16万を超え、コミュニティも11万人以上に成長しています。ワークフロー自動化とAIエージェントオーケストレーションの両面で、n8nの存在感は増しています。
6. どう考え、どう動くか
例えば、n8n 1.xでCodeノードを使って環境変数を参照している場合、2.0では明示的な設定変更が必要になります。事前にMigration Reportで影響範囲を把握しておくべきです。
指針:
- n8n 1.121.0以降でMigration Reportツールを確認し、影響を受けるワークフローを特定する。
- Task Runner有効化による既存Codeノードへの影響をステージング環境で検証する。
- Publish/Save分離による運用フローの変更をチームで共有する。
次の一歩:
- 今日やること:Migration Reportを開き、CriticalとMediumの項目数を確認する。
- 今週やること:ステージング環境で2.0ベータを試し、主要ワークフロー3つの動作を検証する。
7. 限界と未確定
- 12月8日時点ではベータ版です。安定版(2.0.x)は12月15日リリース予定です。
- 破壊的変更の詳細はマイグレーションガイドで確認が必要です。
- 1.xのサポートは2.0リリース後3ヶ月間のみで、セキュリティ修正のみが提供されます。
8. 用語ミニ解説
- Codeノードを分離された環境で実行し、メインプロセスやシステムへのアクセスを制限する仕組みです。(Task Runner / タスクランナー)
- バージョン番号の付け方のルールで、メジャー.マイナー.パッチの形式を取ります。メジャー番号が上がると破壊的変更を含みます。(セマンティックバージョニング / Semantic Versioning)
9. 出典と日付
n8n Blog(公開日:2025-12-08):https://blog.n8n.io/introducing-n8n-2-0/








