1. これは何の話?

マルチモーダルAIの活用を検討する開発者・企業向けに、Zhipu AIがGLM-4.6Vシリーズを公開しました。画像や動画を見て、理解して、ツールを実行するという一連の流れを、1つのモデルで完結できる点が最大の特徴です。
従来のマルチモーダルAIは「見る」ことはできても、その結果を使って外部ツールを呼び出す際には、いったんテキストに変換する必要がありました。GLM-4.6Vはこの変換を不要にし、画像をそのままツールのパラメータとして渡せます。
モデルは2種類あります。クラウド向けの大型版(106Bパラメータ)と、ローカル実行に適した軽量版(9Bパラメータ)です。いずれもオープンソースで公開されており、HuggingFaceやGitHubからダウンロードできます。
2. 何がわかったか
GLM-4.6Vのコンテキスト長は128Kトークンです。これは約150ページの複雑な文書、200枚のスライド、または1時間の動画を一度に処理できる規模です。
性能面では、MMBench、MathVista、OCRBenchなど20以上の主要ベンチマークで、同規模のオープンソースモデルの中で最高水準を達成したと発表されています。

技術面では、モデルコンテキストプロトコル(MCP)を拡張し、URLベースでマルチモーダルコンテンツをツール間でやり取りできる仕組みを実装しています。また、強化学習によってツール呼び出しの精度を高めています。
3. 他とどう違うのか
従来のマルチモーダルツール連携では、画像→テキスト記述→ツール呼び出しという多段階の変換が必要でした。この過程で情報が失われたり、システムが複雑になったりする課題がありました。
GLM-4.6Vは画像を直接ツールに渡せるため、変換による情報損失がありません。さらに、ツールが返した画像(検索結果や生成されたグラフなど)も直接理解して、次の推論に活用できます。
4. なぜこれが重要か
「見る」と「動く」が分離していたマルチモーダルAIが、統合されたエージェントとして機能するようになります。これにより、複雑な業務フローの自動化がより現実的になります。
オープンソースで公開されていることも重要です。企業は自社環境でモデルを動かし、データを外部に出さずにマルチモーダルエージェントを構築できます。
5. 未来の展開・戦略性

MCPとの統合が進むことで、既存のツールエコシステムとの連携が容易になります。今後、RPA的な業務自動化やカスタマーサポートの高度化など、視覚情報を扱う業務領域での活用が広がる可能性があります。
軽量版の9Bモデルはエッジデバイスでの展開も視野に入ります。ロボティクスや製造現場での視覚検査など、リアルタイム性が求められる領域への応用も考えられます。
6. どう考え、どう動くか

例えば、PDFレポートから要点を抜き出して社内Wikiに画像付きで自動投稿するような業務を、1つのモデルで完結させられる可能性があります。
指針:
- Z.aiのデモでGLM-4.6Vの動作を確認し、自社業務への適用可能性を評価する。
- 9Bモデルをローカル環境で試し、レイテンシと精度のバランスを検証する。
- MCPとの連携方法を調べ、既存ツールチェーンへの統合を検討する。
次の一歩:
- 今日やること:Z.aiのチャットデモで画像→ツール呼び出しの動作を1つ試す。
- 今週やること:HuggingFaceから9Bモデルをダウンロードし、ローカル実行を3回試す。
7. 限界と未確定
- 具体的なベンチマークスコアの数値は技術レポート参照が必要です。本ブログ記事には詳細な比較データは掲載されていません。
- 商用利用のライセンス条件はGitHubリポジトリで確認が必要です。
- 日本語性能についての言及はありません。多言語対応の程度は実際に試して確認する必要があります。
8. 用語ミニ解説
- 画像や動画を直接AIに意味として理解させ、必要に応じて外部ツールを呼び出せる仕組みです。(ネイティブマルチモーダルツール呼び出し / Native Multimodal Tool Calling)
- AIが扱える入力の最大長さのことです。(コンテキスト長 / Context Length)
9. 出典と日付
Zhipu AI(公開日:2025-12-09):https://z.ai/blog/glm-4.6v






